根強い人気のある税理士試験ですが、税理士試験には会計科目である簿記論・財務諸表論以外の科目には受験資格があり、学歴が高校卒業(高卒)であったり、大学を卒業していても必要な単位を取ることができていなかったりすると税理士試験に最終合格することはできません。
受験資格の中には学歴の要件以外に、簿記検定試験に合格することで受験資格を得られるものもあり、それが日商簿記検定1級と全経簿記検定上級とされています。
日商簿記検定と全経簿記検定では一般的に日商簿記検定の方が認知度が高く受験者数も多いのが実態です。
しかし、こと税理士試験の受験資格を得るという目的においては全経簿記検定の受験もオススメされることがあります。
この記事では、税理士試験の受験資格を得るためであれば日商簿記検定だけでなく全経簿記検定もオススメできるポイントを紹介していきます。
そして最後に日商簿記検定と比較した場合の全経簿記検定のデメリットについてもご紹介します。
税理士試験の受験資格として認められるのは1級と上級
最初に、税理士試験の受験資格について確認をしておきましょう。税理士試験の受験資格には学歴や職歴などの要件がありますが、その要件の中に日商簿記検定と全経簿記検定を取得することが含まれています。
しかし、簿記検定のどの級でも良いわけではなく、各簿記検定の最難関の級の合格が求められていることはおさえておきましょう。
ですので、日商簿記検定であれば1級、全経簿記検定であれば上級の合格が必要となります。
その点を踏まえた上で続きをお読みください。
日商簿記検定1級と全経簿記検定上級の合格率の違いについて
日商簿記検定1級と全経簿記検定上級では、どちらに合格しても税理士試験の受験資格を得ることはできますが、合格率に違いがあります。
| 日商簿記1級 | 全経簿記上級 | ||
| 146回 | 8.8% | 185回 | 18.78% |
| 147回 | 5.9% | 187回 | 15.89% |
| 149回 | 13.4% | 189回 | 15.16% |
| 150回 | 9.0% | 191回 | 16.59% |
| 152回 | 8.5% | 193回 | 16.17% |
| 153回 | 9.8% | 195回 | 16.28% |
| 156回 | 13.5% | 197回 | 15.27% |
| 157回 | 7.9% | 199回 | 15.40% |
| 158回 | 9.8% | 201回 | 14.19% |
| 159回 | 10.2% | 203回 | 14.14% |
| 平均 | 9.68% | 平均 | 15.787% |
このように、全経簿記検定上級の方が合格率が高いことを考えると、税理士試験の受験資格を得るためという目的のためであれば全経簿記検定を受験することをオススメできます。
日商簿記検定1級と全経簿記検定上級の出題内容と配点の違いについて
日商簿記検定と全経簿記検定で出題される内容は、どちらも大きくは変わらず、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目が出題されます。また、合格基準も4科目の合計が6割を超え、且つ、各科目4割の得点が必要となっています。
しかし、日商簿記検定と全経簿記検定では、実際に獲得しなくてはならない点数に違いがあるのです。
合格基準点は以下の表のようになります。科目別については足切りの点数を表示しています。
| 日商簿記検定1級 | 全経簿記検定上級 | |
| 商業簿記 | 10/25 | 40/100 |
| 会計学 | 10/25 | 40/100 |
| 工業簿記 | 10/25 | 40/100 |
| 原価計算 | 10/25 | 40/100 |
| 合計 | 60/100 | 280/400 |
日商簿記検定1級と比較すると、全経簿記検定上級の方が得点に幅がつけられているのがお分かり頂けると思います。つまり、全経簿記の方が部分点で点数を稼いで合格基準を満たす、また各科目の足切りを回避することができる可能性があると考えられます。
日商簿記検定1級と全経簿記検定上級の試験対策方法について
どのような資格試験も過去問を解くことはとにかく重要になりす。
日商簿記検定と全経簿記検定についても過去問が大切だということは言えるのですが、両者を比較すると全経簿記検定の方が、過去問での試験対策がオススメされる傾向にあるようです。
細かいことを言うと全経簿記検定上級では会計学の出題の40%は理論問題となります。そんな会計学の理論問題などは特に過去問からの出題も少なくないので、しっかり過去問を解いて理解することが対策につながるでしょう。
逆に言うと、日商簿記では突拍子もないとまでは言いませんが、過去問での対策の取りづらい問題が出される傾向にあるようです。
以上のようなことを踏まえると、税理士試験の受験資格を得ることを目的にするのであれば、全経簿記検定上級の合格を目指すのも良いのではないかと思います。
日商簿記検定と比べた全経簿記検定を取得することのデメリットについて
ここまで全経簿記検定上級の方が日商簿記検定1級と比較すると合格しやすいポイントなどをご紹介してきましたが、日商簿記検定1級と全経簿記検定上級は、どちらの試験も合格することで税理士試験の受験資格を得ることができる試験ですので、やはり難易度自体は高く、決して生半可な気持ちでは突破することのできない試験です。
必要とされている勉強時間も700時間程度は必要とされていますので、手軽に合格できるというわけではありません。
日商簿記検定1級と全経簿記検定上級の知名度の違いについて
しかし、日商簿記検定1級と全経簿記検定上級で比較した場合に、全経簿記検定上級の方に部の悪い点もあることもおさえておきましょう。
それは、知名度です。
それぞれの検定試験の主催・運営を確認していただくと、日商簿記検定は日本商工会議所であり、全経簿記検定は全国経理教育協会です。もちろん、日本商工会議所の方が組織としての規模も大きいのでその影響もあるのかもしれません。
大きな会社の経理だったり、税理士事務所であれば全国経理教育協会の運営する全経簿記検定について全く知らないというところは少ないと思われますが、一般的な会社ではまだまだ認知されていない可能性があります。ですので、就職や転職を意識されるのであれば日本商工会議所の日商簿記検定の方が良いでしょう。
とはいえ、せっかく難しい資格試験に合格したのに、認知されていないというのは少し悔しい気もするかもしれませんが、そんなネガティブな印象も吹っ飛ばすことのできる方法が以下の方法です。
税理士試験の方で簿記論、財務諸表論などの科目に合格してしまおう
元々の目的を考えれば当然なのですが、税理士試験の受験資格を得るために簿記検定を受けているわけですので、その道筋に沿って税理士試験に合格してしまえばそんな検定試験の知名度なんて些細な問題でしかありません。税理士試験の簿記論、財務諸表論に合格しているだけでも印象は全く違うので、まずはそれらを目指すのが良いでしょう。
税理士試験の受験資格を得るためであれば全経簿記検定上級の受験もオススメ
この記事でご紹介してきたように、税理士試験の受験資格を得るためであれば全経簿記検定上級の合格を目指すのはおすすめです。
逆に、就職や転職などに関しては、日本商工会議所の運営する日商簿記検定の方が知名度が高いということはおさえておきましょう。
日商簿記検定1級も全経簿記検定上級も年に2回ずつしかないことを考えると、年に4回のチャンスになると言うことになるのでためらうことなく全経簿記検定上級にもチャレンジして頂ければと思います。
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